その手紙を出したのは翌日だった。


学校は休み。


ポストまでの道のりは電車だ。


夏との手紙を何度も繰り返すうち、友太さんに車を出してもらうことが申し訳なくなり、今はこうして自分の足で向かう事が多くなっていた。


最寄駅で電車を降りて歩く事15分の場所に『過去ポスト』はあった。


山が近いからか、あたしが住んでいる街よりも随分と気温が低く、息をするたびに白いモヤが空中へと消えて行く。


15分間歩いていると体はポカポカと暖かくなってきて、『過去ポスト』が見えたころにはすっかり寒さなんて忘れてしまっていた。


『過去ポスト』はいつもと同じようにその場所に立っていた。


普通のポストよりひとまわり小さく、薄い赤色をしている。


あたしはいつも通り手紙を投函して、ふと気が付いた。


いつだったか、友太さんは『過去ポスト』は移動しているんじゃないか? と、言っていたことを思い出した。


『過去ポスト』は神出鬼没だから、ネット上でも場所を特定した書き込みがないのだという話もした。