桜の花びらが散る春の頃。
私、細井明日香(ほそい あすか)は
西南(にしみなみ)高校に入学した。

「明日香〜!」

「乃亜!」

中学の時からの親友である、
斎藤乃亜(さいとうのあ)と一緒に
これから3年間、毎日通るであろう
通学路を歩く。

「あ。聞いた?
西南に、眞白くん来るらしいよ」

「え?眞白も?」

眞白、とは私の幼馴染みの
小森眞白(こもり ましろ)。
小さい時からずっと一緒にいた、
私の好きな人。

でも、眞白に思いを伝える前に、
彼はアメリカに引っ越してしまった。

「想い、伝えるの?」

「伝えたいけど、ムリ…かも」

弱音を吐く私の隣で、
乃亜は盛大にため息をついた。