「北園さん!!」 私は、落ちかける北園さんの腕を無我夢中で掴む。 そして、体重をかけて強く引いた。 「うぅっ」 北園さんの体をなんとか踊り場に戻せると、ホッとして体から力が抜ける。 良かった……北園さん、助けられた。 そう思った瞬間、今度は私の体が階段下へと落ちていく。 「あ、雨音さん!!」 「あっ……」 どうやら北園さんを引き上げた反動で、私が階段の方へと落ちてしまったらしい。 それを、どこか他人事のように考える。