「ヤヨちゃん、ちょっと」



ひとけのない一年生用の
下駄箱前のフロアで
ヤヨをひきとめた。



「なに?」


ヤヨは呆れた顔で
あたしを見下ろす。



きちんと絞められた
理数科カラーのネクタイ。



首の輪っかのところ引っ張ったら、
普通緩むでしょ?


「殺す気か……!」


ヤヨのはなぜか緩まなくて。


あぶない、ヤヨの首
締めちゃうところだった。



「変な結び方しないでよ。これ、どうやって緩めるの?」



「なに?ネクタイがいんの?」



ヤヨが片手でネクタイを外す。


あーやっぱり、
結び方、ヘン。ヤヨ。



そのままあたしは
ヤヨの腕を引き寄せて。



「背が高い」


って文句言ってから
座ってもらった。