放課後は芙祐の家に行くことになった。



芙祐の部屋はthe女子。小物も何もかも女子ってかんじ。
最近やっと目が慣れてきた。



「ヤヨなんかあったの?遊ぼうってヤヨから誘うの珍しいね」


「え?そうか?」



「そーだよー」


芙祐は嬉しそうに口角をあげ、
その手元では
白いカップに紅茶が注がれていく。



こんなに上機嫌な芙祐に
まさか、
「桜木慶太にムカついた勢いで、芙祐に遊ぼうって誘いました」なんてことは言えない。



「ヤヨは今日のテストよくできた?」


「まぁまぁ」


「よかったね。本当最近勉強頑張ってるよね」



「絶対受かりたいからな」



「偉いぞ、ヤヨちゃん」


頭ぐしゃぐしゃと撫でるから



「やめろ」


と、拒否したらすぐすねる。



……芙祐の部屋は、あったかい。


冬生まれのくせに寒いのが大嫌いな芙祐は、暖房ガンガンにつけるから。



……。


眠くなってきた……。




「ヤヨあくびしすぎ」


芙祐はひどーい、と言いながら上目で睨む。


「ごめん、つい」


「うーそ。昨日遅くまで勉強頑張ったんでしょ?」



芙祐は正座になって、短い制服のスカートから出るひざをぱん、と叩いた。



「どーぞ、ひざまくら」




にぃーっと笑う。



「……いらねぇよ」



寝れるか。そんなところで。



「ひど。でもほんとにちょっと寝てもいいよ?今回だけ特別に許してあげるよ」


前から思ってたけど
優しすぎるから、こいつ。


「じゃあごめん、5分だけ……」



「いーよ。起こしてあげる」