「ヤヨちゃんもう2時間以上走ったから、次はあたしが運転しようか?」


「できんの?」


にやり、その笑顔は、何。


「できるよ〜」


いたずらっぽい上目遣い。


あれだな、運転したいんだな。


下道より高速の方が、
難易度低いっちゃ低いか?


SAで交代して、
芙祐が運転席に座った。



芙祐はそんなに運動神経悪くないし
大丈夫だとは思うけど。
半々でちょっと怖い。


白い腕が夏の日差しに照らされて、
眩しそうに目を細める。


カバンから取り出したサングラスをかけて、

色白の綺麗な指先が
ルームミラーの角度を変える。


「じゃあ行きますか」


赤い唇が口角を上げたと思えば、



「あ、その前に」


サングラスを片手でひょいっとあげて、俺を引き寄せてキスをする。


「ちょ……」

「大丈夫、誰もみてないよ」


……色気大丈夫?


なんかとんでもなく
悪い女と一緒にいる気がする。


心臓バクバクいってるけど。


動揺する俺なんてさておき、芙祐はすいーっと車を走らせ始めた。



合流も車線変更も
なんの恐怖も感じずに済んだ。


「普通にうまいな」


「この日のために練習したんだよ」


「俺運転するのに」


「運転でヤヨばっかり疲れて旅行楽しめなくなるじゃん」


半分こだよ、だって。

……可愛いすぎか。