どくどく言ってる。ヤヨの心臓。
あたしのもね、今壊れそうなくらいだよ。


「……まじで大学受かってよかった」

「今それ言う?」

あたし、眉を寄せながら、ヤヨの体から離れた。


「俺の大学の志望動機、笑えるやつ、聞く?」

自分でハードル上げたね。
知ってるよ、麻里奈ちゃんと約束したんでしょ。どう笑えっていうの。


「うん。聞かせて」

一応ね、聞くよ。


「芙祐の大学と同じ沿線にあるから」


「え……?」


「高校は正門でたら俺は右、芙祐は左に曲がるくらい真逆だったけど。大学は一緒に行けたりするかなって……」

「……麻里奈ちゃんと約束してたんじゃないの?」

「麻里奈と約束ったって、あいつ絶対俺と同じ大学いける学力ないと思うんだけど」

「一緒の大学じゃなくて。麻里奈ちゃんとヤヨ近くの学校にするみたいなこと言ってたけど」

「悪いけど全然覚えてない。中学のころの記憶なんか受験でふっとんだ」


じゃあ、本当に、
あたしと学校通うために
あんなに偏差値高いところ、がり勉してたの?


「ヤヨ……ばか」

嬉しくて嬉しくて、
笑い泣いてるよ。

「何回泣くんだよ」

「何回も泣かせるんじゃん、ヤヨが」