三年間って、
こんなにあっという間だったっけ?


入学して、
いろんな人と別れては、
藍ちゃんに怒られて
ヤヨに呆れられて
リコはそれを面白そうに聞いていて。


放課後は、
ヤヨとつまんない話とか
冗談とか言いながら
毎日雑用して。

……慶太くんと付き合って。

それから……ヤヨと、いろんなこと……。


昇降口に差し掛かるところで立ち止まる。

そのまま、ひとり校舎を見上げた。


紅白の幕が、
卒業証書授与式の文字が
いつもと全然違う空気感が。
無性に切ない。


「芙祐!おはよ」


あたしの背中に声をかけたのは藍ちゃん。


「え、芙祐……制服のリボン持ってたの?」

「そりゃ捨てないよ、制服だもん」

「初めてつけたでしょ?」

「うん」

「もう、ほんとに芙祐は……」

藍ちゃんが笑ってる。
当たり前みたいにあたしの傍に、ずっといた藍。


「離れたくないー!」

藍ちゃんを抱きしめてほとんど泣いてたら
べりっと剥がされた。

「別れみたいにしないでよ!あのね、学校だけが全てじゃないから。これからも普通に会えるから!」

「……ほんと?藍、あたしのことわすれない?」

「私、こんな印象的な友達、今までもこれからも芙祐だけだよ?」


藍ちゃんが笑う。
そのいたずらっぽい笑みが
嬉しくて、もう、嬉しくて。
もう一回ぎゅーって抱きしめたら


「あー、ずるーい、リコもー!」


って、後ろから声がしたなって思ったら
あたしと藍の上から、
さらにリコがぎゅーっとする。


「うわーん」って、あたし
言ったところだけど

そんなの構わず、
リコが間延びした声で言う。

「ていうかね?みんなこれからも学校ちかいし、大学の傍、おしゃカフェいっぱいあるし。めっちゃ行こ?」

その言葉に顔をあげるあたしと藍ちゃん。

「行く」と藍。

「行き尽くそう!」ってあたしもういっかい、二人を抱きしめた。