何が足りないの。


ずぅんと心、重くなってきた。
鉄アレイ20個分くらい。

そんな心の端っこを
ちょっと温めてくれる、何か。


”何回でも助けてあげるよ”


……慶太くんの、優しすぎる目。

もやもやと広がっていく、
暖かくて、苦しい気持ち。


この気持ちは
このままほっといてもいいやつじゃないって
あたし、わかる。


止まった足を一歩進めた。


理数科の教室とは反対方向へ。