「……怖い?」

俺がそう聞くと、
芙祐ちゃんは涙目のままゆっくりと頷いた。

「大丈夫だよ。きっと向こうも芙祐ちゃんに会いたいはずだから」

「……そう、かなぁ」


どこまでも自信なさそうだけどね。
ふたりとも。


「頑張るベクトルは、勉強の前に弥生くん」


芙祐ちゃんの黒い髪を、優しく撫でた。


別れてからずっと、今も。
……特別で、大切な子。


「しっかり話してきなよ。もしうまく話せなくなったら、その時はここにおいで。俺ここで勉強してるから」


「……ありがとう」


そんな泣きそうな顔で言わないでよ。


にこっと笑って言うのが芙祐ちゃんらしいよ。


芙祐ちゃんは涙を拭いながら俺を見上げる。


「……慶太くん、優しすぎる」


それよく言うけどさ、誰にでも優しいわけじゃないからね。

誰にでも優しかったら、ナナちゃん、あんなに怒ってないし。


……でも最後に、いわせてもらおうかな。