放課後になって、飲み物でも買いに行こうと廊下を歩いていると
芙祐が目に入った。


その隣に、桜木慶太がいる。


怒りも、嫉妬も一気にこみ上げる。

俺との時間は全然つくろうとしないくせに、
なんでそいつと一緒にいんの?


柱の影で、聞き耳をたてた。


「極論を言えば、三択じゃないの?」


桜木慶太がそう言うと、芙祐は距離を詰めて聞く。

「なになに?」

「付き合う、別れる、一旦距離を置く」

「……距離を置く……」


芙祐がそれだけ、ぽつりと繰り返した。


「でも距離を置くと半分以上別れると思っておいた方がいいよ。あんまりいいことない」


桜木慶太が慣れたように、芙祐の肩を叩いてそう言った。