「藍ちゃん、何か飲み物買ってきてもいい?」

「行っておいでー」

問題を解き途中の手を止めて。シャーペン握った手を振り振りしてる藍。


その薬指の指輪がきらって。もうそれはきらって光って。
ずぅーんと心にきた。だいぶ重めに。


廊下に出て、冷たい空気を吸った。


麻里奈ちゃんには、指輪あげたって、ヤヨ……。

軽率の反意語ってさ、慎重だよね。

麻里奈ちゃんには慎重に考えて、あげたわけ、ヤヨは……。
涙でそう……。


楽しそうな吹奏楽部の練習の音が聞こえてくる中ね、お葬式モードで俯き気味に歩くよ、自販機まで。


「芙祐ちゃん!」


後ろから声がして、涙拭ってから振り向いた。

だってコレ、慶太くんの声だもん。


「……おはようー……」

って挨拶しながらおいおい泣きそうになるの堪えた。