唯は、昔と変わらない。

かわいい…

いや、綺麗になっていたが、少し腫れた瞼が痛々しいかった。

あいつの浮気に気がついて泣いたのだろう。

かわいそうにと思いながらも、そう仕向けたのは俺だから少しだけ心が痛かった。

だが、俺が新だと気がつかなったのはムカついたから、少しだけ悪だくみを思いつく。

甘い物は好きじゃないけど、ケーキに合わせたコーヒーの試飲という理由で誘う。

疑いもしない唯…
お袋は、何かの思惑に気がついたらしく唯に任せて親父の店に向かった。

酸味を好む人もいれば、苦味を好む人もいて人それぞれだと思わない時点で、唯の心は別のところにあるのだと察した。

追い討ちをかける形になるが、今日は偶然を装い絵里さんと一緒にいるあいつに会わなければならない。

少し前に、絵里さんと最終確認をした。

『予定通りの時間に、店の前にいる』

そして、絵里さんからの返信

『こちらも予定通りの時間に店に向かいます』

唯を食事に誘い、俺のもう1つの店『S』に連れて行き、お互いの近況報告などや唯の恋の相談を聞きながら、時計の時間を確認する事は忘れない。

22時30分

今から起こる出来事に、唯はどんな反応を示すのだろう?

さぁ、扉の向こうにいるあいつを見つけに行こうか。