しばらく歩くと、ぞろぞろと大人数で歩く集団を見つけた。
私は少し小走りでそこを目指す。
すると最後尾にいた一人が私に気づいて振り向いた。
「ちょっと桜! 何処行ってたのよ」
「さ、小夜子」
少し怒った顔で話しかけてきたのは山岸小夜子(やまぎし さよこ)。
私の幼馴染みであり大親友だ。
「もう! いきなり居なくなるからビックリしたじゃない」
「ごめんなさい。桜に見とれちゃっててさ」
小夜子は頬を膨らませて私を睨むが、そんな姿も凄く可愛い。
少し茶色がかった髪に整った顔。
背は平均より少し低くて、まるでお人形みたいな小夜子。
性格もサバサバしてるけど人当たりが良くて男女問わず人気がある。
そんな小夜子とは対照的に私は真っ黒な短い髪に、平凡な顔立ち。
小夜子曰く素直な子らしいけど自分では全然そんな風には思わない。
たまに余計なことを言ってしまったり、肝心なことを言えなかったりする。
私とは正反対の小夜子を羨ましく思う時もあるけど、私は小夜子の事が大好きだ。