朝、登校して確認したところ

どうもこの数学のテストは

うちのクラスだけらしい……


羽柴花織なんて聞いたこともないぞ…


丸い可愛らしい文字で

名前しか書かれていない紙を

見ながらため息をつく。


「ため息つくと幸せ逃げんだぞー」

「うおっいっ」

親友の小原(こはら)一樹(いつき)が
俺の顔の前に握りこぶしを作って言う。

殴られるのかと思った。

「なに悩んでんだ?点数?」

「いや、ああ。それもある。」

「それもってなんだよ、他なんだよ?」

悩んでだろ?聞け聞け!ほいほい!と
調子に乗らせてしまった。


一樹が煩いので聞いてみることにした。

クラスメイトの名前を
ちゃんと覚えていないのは恥だが…
















「羽柴花織って知ってるか?」













「ぶっははははははは」

一樹が狂ったよ様に笑い出した。

「なんだよ!」

むっとするどころか全然わからない。

「りょーた!お前!人魚姫派かぁ!」

なんだ!?

「は?」

意味がわからない。