姫は自由に生きている


「わ、たし……」


「怖がるな。安心していい。俺たちは違う。」


「ほ、んと?」


「あぁ」


「一緒に、居たい」


なんとなく、分かってしまった。


恋さんは"なにか"抱えている。


それは双子の剣ですら知らない闇を。


右京しか知らない闇を。


俺たちは、分かってしまった。


剣は、すごく悔しそうに唇を噛んでいる。


新は、拳を握りしめている。


俺は…あの二人の世界に入りたくて仕方ない。


俺も、入れて欲しい。


そう思った。


「ふっ。それでいい。じゃあ姫にな「それはならない」…何故だ」


あーあー。珍しく穏やかだった右京は一気に不機嫌になる。


「姫には、なれない」


「だから恋、「いくら右京が言っても、私はなれない。」……そんな事ない。」



「相応しくないじゃない。」


「お前が一番相応しい。絶対だ。」


どちらも引き下がろうとはしない。


意地張って子供かっつーの。


…そんな事口にしたら間違いなく殺されそうだから言わないけど。


「だって私、自由なんでしょ?」


「……………あぁ」


「琳が、言ってた。決めるのは私。私は今自由なんだって。何処にでも行っていいんだって。まだ、たくさん行きたい所ある。行ってない所も、やってない事もたくさん。少なくともそれをやり終わるまでは姫にはならない。お願いだから分かって。右京」


右京の頬に手を添え、見つめ合っている二人はとてもお似合いで絵になる。



「……分かった。」


右京が、引き下がった…!?


え、右京って引き下がるとか出来るの?(失礼


「ただし、」


「なに?」


「俺たちと離れることは決して許さない。お前の側に居るのも、守るのも俺たちだ。他と関わる事は決して許さない。何処かへ行く時は必ず俺に言え。なにかやりたい事があるなら俺に言え。お前の言う事全て叶えてやる。だから、絶対俺から離れるな」


「分かった」


全く。困る程不器用な奴だ。


好きだって、素直にそう伝えればいいのに。


なんで一々そんな分かりづらい、しかも横暴な条件出すかな。


不器用にも程がある。