姫は自由に生きている


ここ最近、恋さんはなにか考え事をずっとしている。


「それでね、って恋聞いてる?」


「……ん?あぁごめんごめん」


あの剣の話ですら聞き逃すほどの何かを。


「もーちゃんと聞いてよ」


「うんそれで?」


「それでね?新がこないだお漏らししたんだよこの歳で」


「うわキモ」


「ちょ、剣なに嘘教えてるわけ!?恋ちゃんも真顔で言わないでええええええ」


「やーいお漏らし野郎」


「あれはたまたま飲んでたお茶がたまたま股間に溢しちゃってたまたまお漏らしした風に見えただけだろ!?恋ちゃん誤解だからね!?」


「ふーん」


「え、なにその興味なさ気な薄い反応…俺泣くよ!?」


「泣けば?」


「うわああああああん双子に虐められた」


「うるせぇ新」


「ちぇぇ」


新を苛めて嘘泣きし出したのを止めたのは、安眠を妨害されて機嫌の悪い右京。


右京の睨みで新は大人しくなった。


話が終われば、ぼーっと何かを考えている様子の恋さん。


学校では常に俺たちと居て、希龍以外の奴との接触はゼロ。


そう仕向けたのは俺たちであって、彼女が虐められない為の最善策だと思っている。


だから、虐めでの悩みではないはず。


だとしたら…?