やけに真剣な顔をした琳が気になったけど、剣に会える事で頭一杯な私は気にしなかった。
後悔するのは、30分後。
「ねぇ琳」
「あ?」
「ここ………」
「希龍の倉庫だ」
「もしかして……」
「そのもしかしてだ」
車が止まったのは、【希龍】の倉庫前だった。
【希龍】とは、全国No. 1の暴走族で。
私は昔、その【希龍】の総長だった琳の影響でここに出入りしていた。
懐かしいのだけれども……思い出したくない過去まで蘇ってくる。
「恋、大丈夫か?」
「だ、いじょうぶ……」
ここに、私が昔居た場所に、剣が居る。
きっと【希龍】の面子として。
兄妹3人してここにお世話になってるとか笑える。
いや、全然私は笑えないのだけれども。
だから琳は、剣の居場所を言わなかったんだ。
私がこうなるのを分かっていたから。