「ヤツは気づいたらもう倉庫には居なかった。
私は精神的負担が大きすぎて入院。その後みんなの好意に甘えて留学したの。んで今に至る、と」



誰一人として口を挟まず、時に涙を流しながら真剣に話を聞いてくれたみんな



「てこと」


「ちょ、右京やめてよ」


「ん?」


「いや、ん?じゃなくて」


「よく、話せたな」


「〜っ」


あろうことか、隣に座る男だけは私が話してる間もずーっとベタベタと触ってた


"よく話せたな"

その一言だけで、右京の過剰なスキンシップの理由が嫌でも分かって顔が赤くなった


本当に勝てる気がしない。


「あ、質問ある人は挙手で。なんでも答えるよ」


「はい!」


「どうぞマイエンジェル剣」


「俺は誰からもなにも聞かされてませんでしたがどういう事でしょうか」


天使が、黒い笑顔を浮かべてた


「……剣に知られたくなかったから私がみんなに頼んだ、以上。次」


「はい!」


「…どうぞマイエンジェル剣君」


「知られたくなかったとは?」


「……剣に嫌われたくなかったから。軽蔑されたくなかったから。それ以外に理由なんてない」


「恋……」


「次」


うるうる目を潤ませて私を見る剣が可愛すぎて今すぐ飛び付きたくなった


嗚呼、可愛い私の天使

心が浄化されてく気がする


「はい!」


「どうぞ新くん」


「本当に、恋たんが初代希姫なの?」


「そう言ってるじゃん。あとで写真見せてあげる」


「うほっ幼い恋たんっ!」


「次」


「じゃあはい」


「どうぞ恵くん」


「どうして日本に戻ってこようと思ったんですか?」


「……蓮二に呼ばれた気がしたの。本当にこればかりは気まぐれ」


"おい恋、そろそろ日本帰ってこいよ。俺待ってるんだけど?"


アメリカの高校カリキュラムを飛び級で終わらせて、この後どうしようかと悩んでた時

ふと、蓮二のそんな声が聞こえた気がした


帰る意志のなかった日本に戻ろうと思ったのは、本当に頭の中に聞こえた蓮二の声だった