ただでさえ、ヤツに監禁されてただけでも気が狂いそうだった

圭介が刺されて、心も体も限界なんてとっくに迎えてた


なのに…なのに…どうして



「「「「蓮二!!!」」」」


「……な、くな…れん、うきょ…」


耳を劈く銃声は、蓮二を撃ち抜いた


音が聞こえる直前、私と右京のすぐ背後を歩いてた蓮二は私と右京を巻き込んでそのまま倒れた


圭介とは比にならないおびただしい量の血液が足元を流れる


一瞬にして青白くなった蓮二に、本能がサイレンを鳴らしはじめた



「蓮二っ!れんじ!やだよ!死なないでよ!!」


「おい蓮二!しっかりしろよ!!まじで守って死ぬんじゃねえよっ!!」


右京と私の泣き顔に、ゆるりと頬を緩ませ
普段の馬鹿力なんて当たり前に出ない蓮二は、ただただ優しく泣いてる私と右京の事を抱き締めた



「お、まえら…守、て…死ねんなら、本望…だ」


「れんじ!起きてよ!れんじ!」


「おい蓮二!お前以外誰が恋の事守るんだよ!!」


「う、きょ…お前が、いる…だろ、?」


「ざけんなっ!先に死ぬなんて許さねえからな!」


「つ、よく……いき、ろ」


「れんじ!れんじ!れんじ!れんじ!」


「おい蓮二っ!頼むからっ…!!」



圭介の処置はすぐしたのに、みんなは蓮二の処置をしなかった

……違う、3発共蓮二の身体に埋まった銃弾と血液の量で悟ってしまったんだ


遠くで救急車とパトカーの音が聞こえる


素人か無闇に処置出来ないコレに、見る事しか出来ないみんなは泣いて謝ってた


「そ…ちょ…」


「んっ…?」


「お…れ、希龍で…す、げえ、幸せ…で、したよ」


「ああっ…!誇りに思う…っ」


誇らしげに笑う蓮二に、琳兄は泣きながら笑ってた



「恋…右京…だ…い、すき…だ、ぞ」



するりと、私と右京を抱き締めてた腕が落ちた


「いやあああああああああああああ」




私のこの日の記憶は、これが最後だった