出せる限りの力を振り絞って、全力で走った
「恋っ!!」
初めて聞いた余裕のない琳兄の胸に飛び込んだ
「り…にぃっ…りん、にぃ…会いた、かった…っ!!」
「待たせてごめんな。怖い思いさせてごめんな。俺も会いたかった…っ」
琳兄の特攻服にしがみついて大泣きした
嗚呼、帰ってこれたんだって心の底から安心した
「恋、蓮二と右京の所で待ってろ」
蓮二と右京の元へ走って行き無事に保護された
琳兄とヤツが戦って勝てば全て終わる
前にみんなに教えてもらった
この世界では、総長同士の戦いはタイマンであって他のメンバーは手を出してはいけないルールがあるのだと
水蘭がヤツ以外倒れた今、私たちは琳兄とヤツを見届けるだけだった
「……恋に何をした」
「俺のモノに何をしようが勝手でしょ?」
「恋はてめえのモノなんかじゃねえだろ!」
「はははっ。恋は完全に"俺の女"だよ。この意味分かる?」
「くそがっ…!!」
琳兄の攻撃をヒラリヒラリとかわすヤツの笑顔は崩れない
「総長の攻撃かわすなんて普通じゃねえ…」
「総長の体力を底つかせるのが狙いか?」
「だとしてもあいつだって相当な体力が必要だぞ?」
「これじゃあいつの思うツボだぞ」
「今の総長にそれを考えられる余裕なんてねえよな…」
「見た事ねえくらい暴走してんぞ…」
小声で話すみんなを横目に、ただただ琳兄が勝つ事だけを祈ってた
攻撃をして飛ばされて、立ち上がってまた攻撃をしてかわして、攻撃をして
体力が底をついてきた琳兄は、ヤツにとどめをさした
「ぐっ……」
「はぁ…はぁ…水蘭は解散しろ」
「くくっ。言われずとも解散するさ。ふぅ…」
琳兄が1番得意とする回し蹴りがヤツの鳩尾に入り飛ばされて勝負がついた
意識はあっても負けを認め動く気配のないヤツと、体力の限界で大の字に寝転がった琳兄
「「「「「うおおおおおおおお」」」」」
完全なる希龍の勝利だった
はずだったんだ。この時までは。

