姫は自由に生きている



「どう?このワンピース可愛くない?」


戻ってきたヤツの手には、白色の総レースのお嬢様ワンピースが握られてた


多分、ヤツに捕まる前の私だったら「かっ…かわいいっ!!」と喜んでいたんだろう


「(コクリ)」


残念なことに、人間から成り下がった人形は頷くだけだった


着せ替え人形の如く当たり前のように着ていたワンピースを脱がされ、お出掛け用のワンピースを着せられる


「ふふっ。思ってた通りすごく似合ってるよ。本当にどこまでも魅力的な俺の恋」


髪の毛も整えてあげるね、と何処からかクシとアイロンも持ってきて私は大人しく椅子に座った


「せっかくだから毛先を巻いてみようか。ちゃんと可愛くセットしてあげるからね」


楽しそうに私の髪の毛をセットしだしたヤツに、本当に自分が人形になったのではないかと錯覚しだす


「嗚呼、今すぐにでも食べたいくらい本当に美味しそう。さすが俺のお姫様だ」


毛先をゆるふわに巻かれて、前髪は少し長かったからと器用にヤツに整えられて右分けの流し前髪

総レースのワンピースを見に纏った私は、この死んだ顔を除けばどこぞのお嬢様


鏡越しに映るヤツのうっとりした表情に吐き気を覚えたけど、無駄に刺激しない方がいい


「俺も支度してくるからその間に食事済ませておいてね。」


誘拐犯にしては、しっかり私の世話をしてくれる

ご飯だって毎食食べるし、風呂もヤツが入れてくれる
お手洗いだって部屋にあるから自由に行けるし、
毎日洋服も変えてくれる

ベッドだって自分の部屋のよりふわふわだし、
部屋もすごく綺麗で、まるで何処かのホテルみたい


あの顔なら女に困らないだろうに、小学生の私を抱くんだから頭がおかしいとしか言いようがないロリコン

たまに、ふと冷静になると浮かび上がる純粋な疑問
どうして私だったのだろうかと

まぁ、考えた所で仕方ないのだけれども。