右京は仲良くなったけど、いつも女である私に必要以上に近付いてこなかった
適度な距離感をお互い保ってた、はずだった
でもこの日は違った
いつもの定位置に座ろうと右京の手を離せば、握り直された
右京は私を見ることなく、自分の定位置に私を連れて座った
「隣、座ってもいいの?」
「俺、恋は認めたつもりだよ」
「あ、りがとっ!」
ぶっきらぼうに言われ、遠慮なく右京の隣に座った
私達の距離が精神的にも物理的にも近付いたのは、これがキッカケだった
右京は座ってからも、私の手を決して離さなかった
お互いなにか話をするわけでもなく、静かに寄り添って琳兄達が帰ってくるのを待ってた
2時間くらいして、1番初めに帰ってきたのは壮太だった
「恋、右京、大丈夫だった?」
「うん!他のみんなは?」
「問題なかった」
「いい子だね。もうすぐみんな帰って来るよ」
壮太は、優しく私と右京の頭を同時に撫でた
次に帰ってきたのは雅
少し間隔を空けて琳兄と圭介も帰ってきた
でも、いつも穏やかな部屋はピリピリとしていた
思わず右京の手をぎゅっと強く握った
右京は、少し嬉しそうに頬を緩めて両手で私の手を覆った
「恋、右京、送らせるから今日は先に帰れ」
「なんで!?恋だってみんなが心配だよ!?」
「恋、頼むから言うこと聞け」
「やだ…ヒロとタカヤが怪我したら恋だって痛いもん!」
「わかってるから泣くな。恋はまだ知らなくていいんだ。」
「なんで!?恋は希姫なんでしょ!?」
「希姫の前に、お前はまだガキだ。今日は帰ってろ」
「〜っ右京帰ろ!琳兄のおたんこなす!」
右京を引っ張って泣きながら部屋を出た
「恋、」
「ひっく…ひっく…琳兄のばか…」
「今日は帰ろ。」
「う、ん」
右京に連れられて下に行くと、既に蓮二と迎えの車が待ってた
「ほーらお姫様、せっかくの可愛い顔が台無しですよ〜」
家に着いてすぐ、剣の部屋に行って抱き着いたまま寝たのを覚えてる
琳兄はその日、帰って来なかった

