全国No. 1になってから、希龍にちょっかいかける族すら居なかった
なのに、だ
「おい!しっかりしろ!」
「救急箱持ってこい!」
「ヒロ!タカヤ!意識あるか!?」
「誰にやられた!!」
「くそっ!」
私は、こんな焦った様子のみんなを知らない
こんな、殺伐としたピリピリしてる希龍を見たことがない
琳兄といつも通り、学校終わりに倉庫に来た
入った瞬間、これだった
いつも笑って出迎えてくれるみんなは、意識があるのかすら分からない所々血を流して倒れてるヒロとタカヤの手当てをしていて
圭介も壮太も雅も右京だって、みんな怖い顔をして下にいた
「り、んにぃ……」
「恋…怖いよな。すまねぇ。」
琳兄は、怒りと悲しみと悔しさと焦りと色んな感情が混ざった複雑な表情だった
私の手を握る大きな手が、少しだけ震えてた
この時、総長という立場は感情をセーブさせないといけないんだと幼いながらに思った
「恋、俺とあっち行こ」
未だ入り口から動いてなかった私達の元に、右京が来た
最近はすぐ分かるようになったのに、今日は感情が読めなかった
「でも…」
「恋、琳さんは総長だ」
「……わかった」
咎めるように言う右京に、琳兄を見て手を離した
「恋、すまねえな。右京と上行ってろ」
「うん……」
「右京、任せた」
「はい」
私を右京に任せると、琳兄はすぐに圭介達の元へ走っていった
琳兄に悪い事をしたと思って、反省した
「恋、2階行こ」
「っ!う、ん」
普段誰かと肌が触れる事を毛嫌う右京が、初めて自分から手を差し出した
少しだけ、心があったかくなった

