姫は自由に生きている



ヤツ…田中岳との出逢いは偶然か仕組まれてたのか未だにわからない


「恋ちゃんまたねー!」

「ナギサちゃんまた明日ー!」


小学校の下校時刻、剣はクラブ活動で一緒に帰れなくて、珍しく1人で家に帰ってた



途中で方向が別だから友達とバイバイして、早くみんなに会いたくて家まで走ってたら見事に転んだ


「ふぇっ……」


「お嬢さん大丈夫?」


膝から血が出て泣きそうになってたら、たまたま目の前を歩いてた人に声を掛けられた


「血ぃ出ちゃった…痛いよぉ」


声を掛けて私と同じ目線にしゃがんで、よしよしと頭を撫でたのは琳兄と同い年くらいで王子様みたいにとても品のある男の人だった


「痛いね。バイ菌が入っちゃうから絆創膏付けてあげるからそこの公園行こっか」


「うん…」


そう言って、軽々と私をお姫様抱っこすると数十メートル先の公園のベンチに連れてって下ろしてくれた


王子様は、自分のハンカチを水で濡らすと私の目の前でズボンが汚れるのを気にせずしゃがんで膝の血を拭いてくれて、そのまま絆創膏を付けてくれた


「ひっく…ありがとうお兄さん」


「可愛いお姫様が泣いてたから放っておけなかったんだ。名前なんて言うの?」


「恋っていうの。お兄さんは?」


「俺は岳だよ。恋ちゃんお家帰れる?」


「帰れるよ!岳くんありがとう!」


「ふふっ。恋ちゃんはとても可愛いね。どういたしまして」


絵本に出てくる王子様みたいな見た目をした岳くんは、上品に笑うと私の前で立て膝のまま手の甲にキスをした


当時、超が付くほどの面食いだった私はポッと顔が真っ赤になった


「れ、恋帰らないと!」


「あぁ。遅くなるとお母さんが心配するよね。またね恋ちゃん」


「またね!岳くん!」




これが、私と田中岳の出逢いだった