姫は自由に生きている



この部屋に居ると、たまに難しい話が聞こえてくる

いつも宿題をしながら少し耳を傾けていた結果、分かった事がある


当時…この時、琳兄が総長に就任してから1年経つか経たないかくらい


希龍は琳兄の一つ前の先代が築き上げた地位である関東No. 1だった


元々1番にこだわるような性格ではない琳兄は、仲間と楽しく過ごせれば幸せだといつも話していて全国の頂点に憧れはありつつも、現状で満足していた


少しずつ、コッチの世界の専門用語的なものや価値観を吸収していってた幼い私


琳兄と圭介は心友で、いつもゆる〜くニコニコしてて性格もそっくりかと思えば実はそうじゃなくて。


現状維持派の琳兄にかわって、圭介は全国の頂点になる事への憧れが強かった

…強かったというか、全国1になりたいとずっと言ってた


それでたまーに、2人が言い合ってるのも見たことある



そして周りの大人に溺愛されて甘やかされてのびのびと自由に育った私はというと

人と同じ事をするのが嫌いで飽き性で、目立ちたがり屋で少し我儘の入った寂しがり屋


圭介は私のそんな性格を熟知し、尚且つ私の願いを必ず叶えてくれる"完璧な兄"を逆手にとった


「ねえ恋」


「なあに?圭介」


それは幹部全員が居る部屋での何気ない一コマ


「恋は1番好き?」


「ん?好きだよ?」


脈絡も意図も見えない質問


「俺もね、1番好きなんだ。恋と俺は似てるよね?」


「うんっ!!」


よくよく考えれば、この時圭介ものすごーく悪い顔してたなと思う