姫は自由に生きている



「恋、俺退院したぞ」


ピッピッピ


「あいつらがな、俺の帰りを泣きながら喜んでくれたんだ」


恋、俺の声は届いてるか?


「俺に"仲間"を教えてくれたのはお前だったよな。ありがと」


俺の中に土足で入ってきて

『うーきょう!1人じゃつまらないでしょ?一緒に遊ぼ?』


追い出そうとしても踏み込んできて

『恋はずーっと右京の味方だよ?』


気づいたら隣に居るのが当たり前になっていて

『恋、右京を1人にしたくないからお嫁さんになる!』


お前の元気な声が聞けないの、結構辛いって知ってるか?


「早く2人で希龍に帰ろう。」


俺たちの始まりの地に


「蓮二さんにも報告しに行かねえと」


もしかしたらお前は夢で会ってるかもしれないけど


「いつまで寝てんだよ」


ピッピッピッピ



「1人にしねえって言ったじゃねえかよっ…!」



手を握っても握り返す事はない


話し掛けても返事は返ってこない


俺が好きな笑顔がない




ピクッ


「れ、ん?」


微かに、握っていた恋の手が動いた


「恋?俺の声聞こえるか?」


ピクッ


俺に返事をするかのように今度こそ弱い力だけど手を握り返された


「恋っ!」


「……………ょ」


「目、開けれるか?」


「………ん」


3週間開くことのなかった恋の目が、ゆっくりと開いた


たったそれだけの事なのに、俺の心はどうしようもなく満たされる



「恋っ!!!」


「な……かな……い、で」


「っ……」


気づいたら、いつ振りだか分からない涙が俺の目から流れていた