姫は自由に生きている




約3時間して着いた恋さんの居る田中岳の所有する別荘は、森の中にひっそりと佇んでいた


本当にただの大きい別荘で、抗争の時みたいにバイクで突っ込んでいくわけにも行かずとりあえず俺たちはバイクを停めた


車を降りた右京は別荘を見上げる事なく、真っ直ぐ門の目の前に行き行き立ち止まった右京



「全員下がれ」


俺たちは不思議に思ったのも束の間


ヒュンッ


何かが勢いよく飛んできたのを右京が避けた


ザクッと右京の背後の木に刺さったなにかを見ると、細くて小さめな弓矢だった


右京と立っていた角度が違ったから俺たちには確実に当たる事のなかったその弓矢は、右京をすり抜けて木に刺さったが右京の事だ


もし自分が避けて俺たちに当たる可能性があったのならば確実に右京は避けずに刺されていただろう


それだけで俺の心臓はバクバクと暴れだす


「ま、まじかよ…」
「おいしょっぱなからこれかよ…」
「やばくねえか?」


後ろでさすがにビビっている面子達にフォローを入れる事が出来ずにいた


ただ、右京は動じることなく立っていた


「くっくっくっ。さすがですね高町右京」



少しして何処からか現れたスーツを着た男


「恋はどこだ新島」


恋さんを連れ去った男だった


「姫はもうここには居ませんよ。」


「あ?どういう事だ」


「あの方と一緒にある場所に行かれました」


「ちっ。どこだ」


「こちらの場所に行かれてみては?」


まるで俺たちが来る事を知っていたかのように恋さんの居場所が書かれた紙を右京に渡した新島は、笑っていた


「お、まえ……」


右京は紙を手に持ったまま、固まっていた


「あぁ、住所も覚えてたんですか。"希龍の"思い出の場所ですもんね?ちなみにこの別荘は姫とあの方の思い出がたくさん詰まった所ですよ?」


「てっめぇ!!」


抵抗する事なく右京に殴られた新島は


「私を殴ってもなにも出てきやしませんよ。姫はここに居ないんですから」


面倒くさそうに俺たちをあしらった


「恋はここに居ねぇ。行くぞ」