「姫、食事を持ってきました」
「………」
ヤツは1日の半分は私を抱くか愛でるかして過ごしているが、定期的に部屋を出て行く
どうやらヤツはどこかの会社の社長らしく常に仕事に追われているんだとか
聞いてもいないのに新島が教えてくれた
そしてヤツが仕事で部屋を出ると新島が食事を持ってきてくれる
昔もそうだった
新島の作ってくれたご飯を食べてる時が、唯一ほんの少しだけ心が休まる時間だった
新島はテーブルに食事を置くと、扉の前で待機をして必要以上に私に近づかないし話しかけてもこない
敵でもなければ味方でもないなにを考えているのか分からない新島は、ただ見ているだけで助けてはくれない
「いただきます……」
今日のご飯はハンバーグだった
食べ終わると新島は食事を静かに下げ部屋を出て行く
ここに来てどれくらい経ったのか分からないし、今が何時なのかも相変わらず分からない
ヤツから与えられているのは、ベッドとテーブルしかないこの真っ白な部屋と昔と変わらない真っ白なワンピース
そして抵抗すれば取り付けられる手錠と鎖は部屋の隅に常に置かれている
ほんの少しの1人の時間
それですらきっと部屋に取り付けられている監視カメラでヤツに監視されている
そう。ヤツが言っていたのだ。
『恋が今までなにをして過ごしてきたか俺はなんでも知ってるよ』
『恋の家での様子も、あのクソガキ共と一緒に居る時の様子も全部全部知ってる』
私たちは常にヤツに監視されていて情報が全て筒抜けだった
きっとあのタイミングで水蘭が奇襲してきたのも、私が隠れてる場所が見つかったのも盗聴されてたから
右京達に教えたいのに、伝える方法がない

