姫は自由に生きている




ただボーッと時間が過ぎるのを待っていた


時計がないこの部屋で30分がどれくらいなのかは分からない


でも、扉が開いたという事は30分くらいは経ったんだろう



「恋ただいま。一人で寂しくなかった?」


「………」


ヤツを視界に入れると、さっそく新島の作ってくれたうどんが胃から出たいと訴え出した



サラリと私の髪の毛を一掬いしてキスを落とすのはヤツ…田中岳だ



英国紳士のように無駄に整った綺麗な顔立ちをして、おまけにほどよく筋肉も付いていて手足も長いときた



これが街を歩いていたら確実に女は騒ぐだろう



勿論私は例外だ


ヤツに触られた所全てが汚染されていく感覚


今すぐにでも風呂で身体を洗いたい

なんなら消毒液ヒタヒタのお風呂に入りたい



「ずっと、この時を待ってたよ。アメリカは楽しかったかい?」


「………」


「さすがに海外で問題を起こすと面倒だからずっと恋が帰って来るのを待っていたんだ。勿論何度も恋に会いにアメリカに足を運んだけどね?」


もうなにも言えなかった


これだけで十分新島がさっき言っていた言葉が理解できる


「こんな綺麗になって帰ってきてくれたって事は、俺との約束を覚えてくれていたんだろ?」


私がコイツと約束なんてするはずがない


「"君が綺麗な女性に成長した時、また迎えにいくね" って覚えてるかい?」


「………」


本格的にどうやら頭が沸いているらしい


ヤツは話しながら私に触るのをやめない


優しく腫れ物を扱うように優しく頬を撫でる