次に目が覚めた時

目を開けるとヤツがベッドサイドで頬杖をついて私をニコニコと生理的に受け付けない笑顔で見つめていた



その瞬間に襲ってくる吐き気


口元を手で抑え必死に口の中から出ないよう戦っていると、ヤツは分かっていたかのようにエチケット袋を私の口に当てた


「恋、薬が少し強すぎたみたいだ。ごめんね。吐いて少し楽になるよ。ほら出して」



それを言われた途端、胃の中の物が全て込み上げてきて私は袋の中に嘔吐した


「げほっげほっ…うっ」


「まだ出そう?全部出しちゃいな」


ヤツが私の背中をさすって介抱してくれてるこの優しさでさえ、私にとって吐き気を誘うには十分だった


胃液しか出なくなるまで吐き続け、最後の方は過呼吸気味だった


「はっはっはぁっはっ」


「恋、落ち着いて。深呼吸するんだ。吸って、吐いて、吸って…そう。もう一回。大きく吸ってー…」


気持ち悪いくらいに声のトーンと話し方、落ち着かせ方が右京と同じだった


……きっとみんな今頃私の事探してるんだろうな


右京はきっと、死に物狂いで自分を責めながら探し回ってると思う



「落ち着いた?今新島に消化に良い物作らせてるからあとで食べよう。とりあえず水飲んで」


当たり前のように話し掛けて接してくるコイツに、私はもう諦めるしかないんだと悟った



この状況で慌てることも逃げ出そうともしない私も、だいぶ頭がやられてんだと思う




ご丁寧に飲みやすくストローが刺さったペットボトルの水を半分くらい一気に飲んだ


眠気と倦怠感に襲われてベッドに横になり目を閉じる









今の状況は、あの頃と何一つ変わらなかった