私が動かない事を分かっていたかのように、新島が部屋を出るとすぐにアイツが部屋に入ってきた



「恋、久しぶりだね」


久しぶりの再会を楽しむように機嫌の良いアイツに、吐き気と動悸と頭痛がしてくる


「こんな綺麗に成長して、ちゃんと俺との約束を守ってくれたんだよね?」


なにを言っているのか、さっぱり分からなかった


「恋、俺はこっちだよ。俺を見て」


声を聞くだけでこんなにも吐き気がするのに、コイツを視界に入れたら私はどうなるんだろうか


ヤツが私に近づいてくる気配がする


「れーんっ」


そして、私をフワリと背後から抱き締めたヤツに私は本格的に胃の中の物が逆流して口の中まで出てきた


「う"っ……」


なんとか必死で溢れ出そうな口の中の物を飲み込む



「大丈夫?新島に嗅がされた睡眠薬もしかして強かった?もう少し横になって休む?」


まるで彼女を心配する彼氏のようなヤツの態度に鳥肌しか立たなかった


1秒でも早く離れる為に私は必死でコクコクと首を縦に振った


優しくヤツが私の体をベッドに横にならせる

その間私はヤツを視界に入れないようすぐに目を瞑った



「恋、これからずっと一緒に居られるね。今はおやすみ」




本当に嗅がされた睡眠薬が強かったのか、私はすぐに夢の中へと旅立てた



ヤツの言葉を聞く前に