次に目が覚めた時、私は真っ白な部屋のベッドに寝かされていた



ああ、捕まったのか


なんて他人事のようにしか感じる事が出来ず、不思議なくらい焦りも生まれてこない


それはきっと、全てにおいて諦めたから


何一つ昔と変わらないこの場所で、どんなに泣き叫ぼうが脱出を試みようが抵抗しようが無駄な事を分かっていて

尚且つ、昔一度全てを諦めて感情を捨てることを決意した所だから


でもやっぱり配置も色も家具も何一つとして変わらない、世界から切り離されたような音のしないこの部屋が


「気持ち悪い……」


脳内に再生されるのは過去の記憶


なにも、なにも考えたくない



ポロリと目から溢れたそれすらも拭う気力はもうなかった




ギィィ


部屋の扉が開く音がした


それでも私は壁を一点見つめたまま顔を向けることさえしない


「姫、気分はどうですか?」


「………」


部屋に入ってきたのは私をここに連れてきた新島だった


「姫、」


「………」


「姫、あのお方がお待ちです」


「………」


どうやら私に選択肢はないらしい


かといって自らこの身を差し出しに行く事もしたくない


私は動かない



どうせ、未来なんて見えている


「……動く気がないのならここに呼びます」


「………」



この先待ち受けるのは、私にとってなによりも耐え難い地獄だ