恋side
ドッドッドッド
心臓が聞こえるんじゃないかってくらい大きな音を立てている
クローゼットに隠れる事しか出来ない私は、ただ震えて右京達の帰りを待つのみ
少しするとさっきまでの大きな怒鳴り声が小さくなっていった
それと同時に
ギィ
幹部室の扉が開く音がした
コツ…コツ…コツ…コツ
明らかに右京達の足音ではない、革靴のヒールの音
「"クローゼットの中で毛布被って隠れてろ"」
だんだんと近づいてくる男の声に
あ、終わったな…と他人事のように思った
そして開かれるクローゼットの扉
「姫、お迎えに上がりました。」
「に、じ…ま」
忘れる事のないこのスーツをビシッと着たこの男
私の震えと恐怖は一気に限界まで達した
「大人しく眠っていて下さい」
抵抗する余地も与えず私の鼻と口に睡眠薬を仕込ませたハンカチをあてる
私の意識はそこで途切れた
私を迎えにきたこの男…新島はアイツに絶対的な忠誠を誓う側近だ