姫は自由に生きている





「恋!!!!」



物音一つしない張り詰めた空気の中、未だかつて聞いたことのないくらい余裕のない焦った右京の大声が倉庫中に響いた




きっと、大人数を率いて乗り込んで戦わせ俺達をまんまと下に呼び込み2階への集中を切らせたのは作戦だったんだ



「「「「「恋さん!!!!」」」」


この場に似合わない、黒のスーツを崩すことなく着こなしている明らかに20歳を超えた男がぐったりと眠っている恋さんをお姫様抱っこをして連れてきた



「新島てめえっ!!」


「寵愛する姫を1人にするなんて相変わらず希龍はガードが甘い」


「そいつを返せ」


「私が"あの方"を裏切るとでも?」


「いいから返せ。アイツに渡してたまるか」


「姫は頂いていきます。」



右京と新島と呼ばれる男はどうやら面識があるらしい


今すぐにでも奪い返したい。それは俺達ならず面子だってそうだ


それでも、意識を失い抵抗出来ない恋さんが男に捕まっている以上

そしてなにより、右京が動かない以上


俺達が動くことは出来ない



嗚呼、なんて無力なんだろうか



「っざけんな!!」


新島が恋さんを抱えている以上、余計な手出しが出来ない


攻撃を仕掛けることで恋さんを傷つけられては困る


右京もそれを考える理性はまだ残っているらしく、拳を血が滲むほど強く握って我慢している