「留学する前って……」
「じゃあ、新の元カノが言っていた"殺されかけたのがトラウマで海外に逃げた"っていうのは…」
「……嘘ではねえよ」
「それが全部本当でもない、ってことですか?」
「ああ」
「右京、教えて下さい。」
恋はまだ寝ている
熱で魘されているしまだ起きはしないだろう
「……正確には、"海外に逃げた"んじゃない。
俺たちが"逃した"んだよ。」
「それはどういう?」
「当時、琳さん達がヤツを警察に渡す前に逃がしてしまった。つまり、いつ恋がまた狙われてもおかしくない。だからヤツの目に届きにくい海外に恋を行かせた。結果的にそれが正解だった」
アメリカに恋を留学させたことでヤツもさすがにプロではないし広い海外で恋の居場所を特定する事は出来ず、恋もトラウマだらけの日本から離れることで気持ちを入れ替えて普通の生活に戻ることが出来た
「なるほど」
「ねぇ、じゃあさ。恋たんがその…そいつに捕まったのっていつなの?留学ってそんなすぐに出来ないよね?」
「…………小3の時だ。恋がアメリカに飛んだのは小4の時」
「ねえ待ってよ!俺は小3の時に恋がアメリカに行ったって母さん達に突然聞かされて別れたよ!?」
あぁ、剣はそうだよな
噛み合わないのも無理はない
「……小3の女子が知らない男に警察沙汰になる程の監禁事件を起こされて、まともな精神状態でいられるとでも思ってんのか」
「っ!!!」
これ以上はさすがに俺が限界だった
怒りからか、あの時の恐怖からか、身体からフツフツと湧き出るなにかに情けなく握っていた手が震えだすのが分かる
「右京、もういいです。すいません。」
「右京、顔色が悪いから少し休んで。俺たちも無理に聞いたりしてごめん」
「……すまない」
気まずい空気が流れ、誰も口を開かなくなった

