姫は自由に生きている



ふっ、と力が抜けて身体が傾いた恋を地面とぶつかる前にキャッチした


過去のトラウマを思い出さない為の自分を守る防衛反応


誰にでもあることなんだ


ただ、今の状況では恋にその頻度が増えてくだけ


あいつらの前で何回も倒れられたら、俺もさすがに誤魔化しが効かなくなるしな…


さてどうしようか。


恋を倉庫に連れてかないっていう案もあるが、なにかあってからじゃ遅いから俺から離すわけにはいかない


じゃあ俺と恋が倉庫に行かなければいい、なんて事も闇討ちに合ってる以上そうもいかない


だから、恋には悪いが倉庫に連れてく以外の選択肢がないのは分かってるんだけど…


間を取ることか出来ないのが惜しい



自分の殻に閉じ籠って守りに入った恋をそっと抱いて再びベッドに運んだ


プルルルル


ー「どうした」

「すいません。恋がまた倒れたので家に帰すのが今日は難しいです。」

ー「また、か…」

「……はい。」

ー「状態は?」

「あの頃の事を思い出すだけで発作を起こすくらい限界が来てます」

ー「……わかった。すまねえが恋を頼んだ」

「はい。俺の方こそすいません。」

ー「いや、大丈夫だ。恋は帰れそうな状態になってからゆっくり家に送ってくれればいい。それより、情報は掴めたか?」

「恵が調べてますが報告はまだ来てないので、きっとなにも分からないのかと」

ー「…そうか。」

「ただ一つだけ、気になる情報を闇討ちにあった面子から聞きました」

ー「なんだ?」

「……敵の特攻服に、水色の刺繍で華が描かれていたそうです」

ー「なんだと!?!?」

「どこから手を回したのかも、それをどこから出してきたのかも、あいつらが復活したのかも、金で雇っただけなのかも、まだなにも掴めません」

ー「ちっ。なんでその特攻服を今更っ…!!」


電話越しに、琳さんの焦りが伝わってくる


あの伝説の総長ですら、この単語1つでこうも焦りを見せる


だから、恋がそれを聞いた時の恐怖心は、きっと計り知れないものなんだ。