姫は自由に生きている



俺たちが来ると、リーダーらしき人物が無言のまま右腕を上げた


なにかの合図のようで、俺たちが警戒して構えようとしていると突然倉庫の中に入ってきた


一体なんなんだ…と警戒を解けないまま観察していると、黒マスクの特攻服集団は全員で特攻服を翻し後ろを向いた



特攻服には、


『希龍5代目』


俺たちは衝撃と感動が隠せなかった


そして、右腕を上げたリーダーらしき人物の特攻服には

『希龍5代目総長』


そう文字が刻まれていた


伝説の5代目を前に感極まって泣き出す面子達


「は!?兄貴!?」


そして、そんな伝説の5代目総長の弟である剣は驚きが隠せない様子で伝説の総長…もとい、琳さんに指を指していた


「剣、人に指差すな」


「いやいやいやいや!そういう問題じゃねえから!」


「あ?」


マスクで顔が隠して現役の頃と同じくオールバック姿のいつもと雰囲気が全く違う琳さんに、誰も気づくわけなんてなかった。


敵意が感じられないのは、つまり敵ではなく先代方だったから。


特攻服を見たことあったのは、写真で見たことあったから。


頭の中で整理していると全て一致した。


琳さんの一歩後ろにいるのは、『希龍5代目副総長』を背負っていた右京の兄、圭介さん。


剣はなにも知らされてなかったみたいだけど、右京は…?


と思い右京を盗み見ると、不敵に口角を上げていた


こいつが恋さんが居ないのに表情を変えるなんて滅多にないけど、その様子だと来る事を知っていたんだろう。