姫は自由に生きている



懐かしい特攻服
懐かしい音
懐かしい面子
懐かしい思い出

そして


「つーいたっと」


あの頃毎日バカをやっていた、懐かしい倉庫


俺たちは今、希龍の倉庫の前にバイクを止めて立っている


「やっべ懐かしい」
「俺泣きそう」
「帰ってきたー」
「なんか落ち着くなー」
「色々思い出すわー」
「お前モヒカンだったもんな!」
「ちょ、辞めろよ!今ちゃんと髪の毛あんだろ!」
「「「ぎゃはははは」」」


懐かしさに浸る俺たちは、あの頃となにも変わらなかった


今でも俺はたまに倉庫に顔を出すけど、それは総長だったからであって他の奴らは引退してから一度もここに来てはいない。


懐かしくて色々込み上げてくるのも当たり前。


と、楽しくて忘れていたが現在地は希龍の倉庫


当たり前だが、倉庫には勿論現役の希龍の奴らがうじゃうじゃいるわけで。


最初こそ特攻服集団に警戒してたみたいだけど、俺たちが勝手に倉庫の前で騒ぎ始めたのと敵襲ではないと悟ったのか不思議そうに距離をとって様子を見ていた


特攻服だしマスクしてるし、背中に書かれた文字は見えてないわけだし、いつもと雰囲気全く違うし頻繁に会う俺のことも現役共は気づいてないだろう。


気にせず倉庫の前で俺たちは懐かしさから騒いでいると、


「あの〜…なんの用ですか?」


敵でないと判断しているからか、言いづらそうに幹部候補であるアズマが俺たちに話しかけてきた。


俺たちを敵ではないと判断した能力は褒めよう。


これで敵襲と勘違いして殴りかかってきた日には判断力のない奴らのことを返り討ちにするからな。