姫は自由に生きている



「んじゃ行ってくる。母さん、恋の事よろしく」


「分かってるわよ〜!気をつけてね〜」


「いってらっしゃ〜い!」


母さんに今日のことを伝えると、勿論全力で協力してくれた。


『自分の娘を守るためならこれくらいお安い御用よ!』

なんてドヤ顔していた母さんも、二度と同じ苦しみを味わいたくないからこその言葉だ。


父さんは父さんで仕事の予定を変更して家に居ようとしてたが、秘書に止められて渋々出勤していった。

社長となると忙しい。


鞄に特攻服を入れて、社会人になってからあまり乗る事のなくなってしまった昔の相棒であるバイクにエンジンをかける


ブオンブオン


私服のまま向かった先は、あいつらとのいつもの待ち合わせ場所


近くの海だった


待ち合わせ時刻の30分前だというのに、半分以上のメンバーが揃っていて全員俺と同じように私服。


社会人が休日にバイク好き同士で集まったみたいな図


誰も俺たちが元暴走族なんて分からないだろう。


予定時刻より前に全員集まり、俺は圭介と並んだ


「"俺たちの家"、久々に全員で帰るぞ!」


「「「「うおおおおおおお」」」」



バサっと全員特攻服を身に纏い、黒いマスクをして顔を隠す。


俺たちは一応立派な社会人だ。


なにかあっては困るから、念の為にマスクをして顔を隠しバイクに跨る




俺の背中には、金の文字で


『希龍5代目総長』


堂々と書かれている



俺だけじゃない。

特攻服を着た全員、『希龍5代目』の文字が書かれている。


ブオンブオンブオンブオン

風になびかせ何年振りかに全員でバイクを走らせる