姫は自由に生きている



琳side


やっぱあいつが手を出して来る前に、動かねえといけねえよな


仕事をこなしながら考えるのはもっぱらこれ。


あーまじ仕事がある以上自由に動けねえしイライラする


右京からは常に恋の状態が報告来るが、自分の目で見ていない以上心配なことに変わりはない。


「杉咲さん、今夜飲み行きませんか?」


「悪ぃ。しばらく用事あるから行けねえんだ。」


「まじっすか!?女っすか!?」


「まぁそんなとこ」


「こりゃ女子社員が騒ぎ出しますね…頑張って下さい」


「あぁ、お疲れ。」


「お疲れ様です!」


可愛い後輩と呑みに行くよりも恋の方が大事だ。

すまねえな。


定時より少し過ぎて仕事を上がり、家まで車を走らせる。


恋はあと1時間くらい帰って来ないだろう。


俺は家に帰り部屋に入るや否やパソコンを取り出した。


カタカタカタカタ


あいつが動きを見せ始めてからずっと調べているのに、何一つ有力な情報が出てこない。


右京によると、毎日恵のパソコンに恋の昔の忌々しい写真が送られて来るらしい。


あの時の事を思い出すだけでも虫酸が走る。


恋に絶対言うなと伝えれば、家族ではぶかれていた事に気づき拗ねたバカな弟と隠し事が出来ないバカと普段は頭が回るのに咄嗟の事に対応出来ないバカのせいで恋は今たいそう気分を害してご立腹だと右京から連絡がさっき入った。


普段は頭が回るバカも調べているらしいが送信元が特定出来ないらしい。


当たり前だ。あいつより技術を持っている俺ですら敵わなかったんだ。


そもそも特定しようなんて事自体が無駄。

それに、俺と右京は誰が送ったかなんて分かっているから調べるまでもない。


なんて事は言えないから、右京は何も言わずに調べさせたままなんだろうな。


……恵も苦労するよなぁ。