姫は自由に生きている



でも右京、家の中が危険だと具体例まで上げて言い切るお前に俺は違和感を覚えるよ。


「まるで、経験したことのあるみたいな言い方だね」


「さぁな」


本当に、なにがあったのか気になって仕方ない。


剣と新は黙って俺たちの話を聞いていた。

そこで会話が終了し、下から聞こえる面子達と恋さんの楽しそうな笑い声が幹部室にやけに響いた。


1時間くらいしただろうか、そろそろ恋さんを家に送る時間になる。


右京は時計をチラリと見ると立ち上がって幹部室を出た。


きっと恋さんを迎えに行ったんだろう。


少しして右京と恋さんが黙って入ってきた。


恋さんは黙って自分の荷物を取ると、入り口で待つ右京の元へ行き俺たちの方に振り向いた。


そして、


「私になにも教えないのがみんなの優しさならそれで構わないよ。でも、それを相手に悟られちゃダメ。中途半端が一番相手を傷つけるんだよ。じゃあね。」


そんな言葉を残して幹部室を出て行った。


右京は先に行った恋さんの後を黙って追いかけていった。


残された俺たちは、彼女をとても怒らせてしまったと焦っていた。