姫は自由に生きている


「右京どういうこと!?」


「あ?」


「俺はっ…!恋のことを何一つ知らない!なのに右京は俺よりも恋のことを知ってる!!おかしいじゃんか!!」


「……お前は俺の知らない恋をたくさん知ってんだろ。」


「そういうことじゃない!!双子なのに…この写真の恋になにがあったのかも、なんで突然留学したのかも俺は何一つ知らないんだよ!!右京は知ってるんでしょ!?」


「…"双子だから全てを知ってるのが当たり前"だと思ってんのはお前だけだ。」


「んなっ!!!」


完全に頭に血が上って冷静な判断がつかなくなった剣は、完全にキレて勢いよく立ち上がり右京の胸ぐらを掴んだ。


普段は穏やかで喧嘩っ早いわけでは決してない剣が、ここまで冷静さを失ってキレるのは初めて見た。


俺も新も驚いている。



「恋はっ!!俺にいつもなにも教えてくれないんだ!いつもいつも俺に隠し事ばっかして、自分を犠牲にしてまで俺を守ろうとしてくれる!!俺がっ!恋を守りたい。知りたいと思うのは当たり前だろ!?」


「…だからなんだ」


剣が希龍に入ったのは、右京の兄である圭介さんに憧れたから。

それとは別にもう一つ本当の理由があるんだ。

『大切な人を守れるくらい強くなりたい』

真っ直ぐ強い目で、先代にそう言った剣を俺は今でも覚えている。


剣にとって一番大切な人は、双子の姉である恋さん。

『恋はいつも、俺を守ってくれたんだ。だから恋がもしアメリカから帰って来る日が来たら、今度は俺が恋をずっと守ってあげるんだ!その為に俺は強くなる!』


恋さんを守るために強くなりたくて希龍に入った剣にとって、自分の知らない恋さんが居ることが酷くもどかしいんだろう。