「恋の好きな料理、たくさん作ったから早く食べましょ?」


「やった!お母さんの手料理だ」


私はルンルンでリビングに入る。


ダイニングには、私の好きな料理がたくさん並べられていて、これまた泣きそうになった。


「恋はここに座って?懐かしいでしょ?」


「うん……」


「ほら、早く食べましょ!いただきます」


「いただきまーす」


久しぶりのお母さんの手料理はどれも美味しくて懐かしくて、胸が一杯になった。


食べ始めて数十分。


私は気になった事を口にしてみた。


「ねぇ。剣は?」


ピキッと固まった空気。


琳の顔を見ると、気まづそうに逸らされた。


「剣は?剣。私、剣に会いたいんだけど」


「け、剣は……あ、あれだ!今友達の家に泊まっててだな?」


「………ふーん。それで?」


低くなった私の声に汗を垂らす琳。


「い、今居ません」


「へー。連絡は?」


「と、取れてません」


「ふーん」


無言の圧力に、どんどん小さくなる我が兄。