「あ?」
「あ?じゃない!バカ!」
「そういうことだよ」
「どういうことよ!?」
「今お前、バカっつったろ」
「あ……」
「剣だってお前にバカって言ったのは言葉の綾だ。
分かったか?」
「……うん」
本当に恋さんにそれを分からせるためだけにキスしたんじゃないとは思うけど…
完全に下心もあったよね。うん。
恋さん気をつけて。無表情の裏に隠した男の顔が見え隠れしてるから。
「恋ごめんね…?まさかそんなに傷つくなんて思わなかった…」
「大丈夫!私も大袈裟すぎたから」
「俺、恋のこと大好きだからね!」
「私も大好き!!」
「恋たん俺のことは〜?」
「あ、新いたの?」
「酷いよ恋たんんんんん」
このいつもの騒がしくも穏やかな空気がこんなにも居心地良くて安心するなんて、彼女に出会うまで分からなかった。
いつも通りになった幹部室に、俺は自然と顔が緩んだ
これ以上、彼女になにかを聞くのは酷だと思いその日はいつも通り接することにした。
ーーーーー運命の歯車が動き出していたとは知らず、俺たちは笑いあっていた