琳さんの言う通り、彼女は今まで見てきた女の中で一番良い女だ。


「恋ちゃんは姫になりたいって思わないの?」


新のこの質問に、


「……そうね。思わないわ」


力なく笑った彼女。


もっと普通に なりたい か なりたくない かと答えるかと思っていたのに予想外の反応に俺たちは戸惑う。


そんなことを思っていると、我らが総長 高町右京が帰ってきた。


「う、きょう……?」


「……恋?」


お互いを見つめ合い名前を呼ぶ二人。


どうやら知り合いらしい。


右京が女の名前を呼んでいるのを初めて見た。


右京に女の知り合いなんて聞いたことないんだけど……


「なんで……」


聞いてるこっちの胸が張り裂けそうなくらい悲痛な声で呟いた彼女。


普段感情を表に出さない無表情な右京も、恋さんと同じように泣きそうに顔を歪めている。


「恋……だよな?」


「うん……」


「おかえり、恋」


そう言って、優しく、腫れ物を扱うように恋さんを抱き締めた右京。


なんとも言えない空気が幹部室に流れる。


まるで口を出してはいけない。暗黙の了解のようだ。


ふと琳さんを見ると、申し訳なさそうな表情で右京に抱き締められている恋さんを見ていた。


一体この2人になにがあったのか。


それを知るのはそう遠くない未来ーーーーーー