なんとなく、彼女なら希龍を変えてくれると、そう思った俺はとりあえず自分達の自己紹介をした。
面倒くさそうにしながらも聞いてくれた彼女。
口は少々悪いが悪い人ではなさそうだ。
剣が副総長だと意図も簡単に当てた彼女は、剣にデレデレで。
これは相当なブラコンだと見た。
まぁ久しぶりの再会らしいし無理もない。
元々仲が良かったと聞いてるし。
「恋ちゃんはさ、なんとも思わないの?」
「なにが?」
「ほら、俺たちに媚売るとか」
「じゃあ逆に聞くけど媚売って欲しいわけ?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
自分で聞いておきながら歯切れの悪い新。
ここは自分の役目であるフォローを恋さんに入れた。
「じゃあ、どういうわけよ」
「新が言いたいのは、今まで希龍と分かると姫になりたくて媚売るか怯えるかの反応しか見せない女達みたいに恋さんもそうしないのかってことです」
この発言が失礼だと気づいたのは
「すごい気分悪いんだけど。」
今まで面倒くさそうにしながらもしっかりと俺たちの話を聞いてくれてた彼女が、不快感を表に出してからだった。
「なんで私がそんな低脳な女達みたいな奴と一緒にされなくちゃいけないわけ?姫になりたくて媚び売るのはあんた達のブランドが欲しいから。恐るのはあんた達の見た目と肩書きだけしか見てないから。そんな女と一緒にされるとか気分悪いんだけど。」
そして彼女はこう言った。
「それと私、あんた達に興味のカケラもないから。」
「「「っ……!!」」」
俺たちは、自惚れてたのかもしれない。
自分達の地位と権力に。
今までそんな事言う人は誰一人居なかった。
でも彼女は違う。
俺たちの常識を簡単に崩させてくれる。

