姫は自由に生きている



「俺と同時期、ですか?でも剣と出会ったのは希龍ですよね?小学校も中学校も違ったはずです」


こいつが不思議に思うのも無理はない。


剣と俺たちが初めて会ったのは希龍の倉庫。つまりここだ。

学区が違った剣とここで出会わなければきっと会う事がなかったはず。

それなのに剣より前に恋と出会ったと言ってる俺の話が分からないのも無理はない。


「そうだな。」

「一体どこで?」

「…それは教えられない」

「そうですか…。じゃあこないだ剣を刺したあの女が言っていた、殺されかけた事がトラウマで海外に逃げた、ってどういう事ですか?」


あの場に居てあのクソ女のセリフを聞いていた奴ら全員が、疑問に思っただろう。

それでも聞かないでくれているのはあいつらの優しさだ。


「……いつか、きっと分かる。話す時が来るから。」


"あいつ"が動き始めた以上、希龍に被害がそのうちくるのは分かっている。

その時が来たら、こいつらに話さなくてはいけない事も分かっている。

恋の過去をーーーーーーー