姫は自由に生きている



まるで3週間居なくなってたなんて嘘のように、なんの変わりもなく2人でいつものソファに座った。


「恋……」

「剣どうしたの?」

「よ、かった…」

「心配かけてごめんね?」

「ほ、んとだよ…!また帰って来ないかと思った…っ!!」


恋が帰ってきた。

俺にはその事実だけで充分だった。

俺の意思とは関係なくポロポロと目から溢れる涙。


それに俺以外のみんなが驚いている


「「剣!?」」

「……」



「剣、どうしたの?」


昔から俺が嫌なことがあった時、必ず気づいて話を聴いてくれた。
俺が泣いている時、必ず抱き締めて泣き止むまで頭を撫でてくれた。

恋は必ず俺の心を救ってくれる。


今もほら、右京から離れて俺のところにわざわざ来て抱き締めてくれる。


俺は恋の存在を確かめるように恋の背中に腕を回した。


「恋、もう居なくならないで…っ!」

「……うん」

「もう恋が居なくなるのは耐えられないんだよ!」

「…ごめんね剣」

「お願いだから!!お願いだから俺の前から消えないで…っ!」

「悲しませてごめんね。大丈夫だよ。」

「俺がどんなに心配してたか分かってる…?俺がどんなに恋を失うことが怖いか知ってる!?俺、恋が居ないと生きていけないんだよ…?」


今も昔も依存してるのは分かってる。

お腹の中にいる時から一緒の恋と、俺は片時も離れたことはなかった。

突然、恋が居なくなるまでは。

恋が突然居なくなってから、俺がどんな気持ちで今まで過ごしてきたか恋は知らない。


分かるわけがない。