姫は自由に生きている


重たい空気が流れる沈黙の中、それを破ったのは琳さんだった。

「俺も…いや、違うな。"俺たち"も動く。」

「……はい」

怒りのせいか、声が震えている琳さん。
先代の本気に、俺はそう応えるのが精一杯だった。

「同じ過ちは二度と許されないんだ。俺の言いたいこと分かるよな」

「はい」

「恋を暫くここから出すな。勿論、剣を含めあいつらにも会わすな。これは絶対だ。」

「分かってます」

恋の片割れである剣すらも恋に会うことを許されない。
琳さんの考えは、手に取るように分かる。
剣にもあいつらにも悪いが、俺も最初からそうするつもりだった。

「俺も仕事の合間を縫ってここには顔を出すつもりだ。右京、お前はやる事分かってるよな」

「…恋の側を一瞬たりとも離れない」

「そうだ。お前が恋をなによりも大切にしているからこそ、俺はお前に恋を預ける。」

「…はい」

ガキの頃からお世話になり付き合いの長い琳さんだからこそ、俺の気持ちを知り理解した上で俺を恋の側に置かせる。

俺は、その琳さんの期待に応えなければならない。

恋を、守らなければならない。
今度こそ恋を、救ってあげなくてはならない。
これ以上あいつが苦しむ必要はないんだ。
過去に囚われる必要もない。


「あと30分もすれば恋はきっと…目を覚ます。」

「……」

「俺は帰って"あいつら"に収集かけて話す。迷っている暇はないからな。」

「……」

「お前の役割は、俺たちのパイプだ。全ての情報を俺に流せ。恋の状態も、"ヤツ"の情報も、全てだ。」

「分かりました」

「俺はもう行く。頼んだぞ右京」

「はい」

琳さんはそう言うと、俺の家を出ていった。


ーーー俺たちの世界の伝説、希龍5代目の復活を宣言して